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弁護士コラム

不法占拠への対応

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はじめに

自己居住物件以外の物件を所有していると、解約した賃貸人が退去していなかったり、賃借人以外の第三者が物件に居ついていたりといった、いわゆる不法占拠がされることがあります。
賃貸借契約を締結している借主であれば、問題が起これば賃貸借契約を解除して出ていってもらうことになりますが、不法占拠がなされた場合はどのように解決していけばよいのでしょうか。
特に不法占拠の場合は、物件を占拠している人の素性が分からないことが多いので、その点についてどのような対応が考えられるでしょうか。

相手方の特定

賃貸借契約を解除して出ていく約束をした後、約束を破って居座っている元賃借人など、不法占拠している人の素性が分かっていれば問題にはなりません。
しかし、これが分かっていない場合、まずはできる限り素性を特定できるように調査をする必要があります。
調査方法には弁護士による照会が必要なものも含まれますが、代表的なものとしては電気・ガス・水道等の契約の有無と契約者の調査、郵便受けの外から見える範囲での郵便物のあて名の確認、不法占拠者の車があればナンバーから所有者の調査、携帯電話番号が分かれば携帯電話契約者の調査といったものが考えられます。
そういった調査によっては、不法占拠者の素性が割れない場合、氏名不詳者に物件を不法占拠されていることを前提に、占有移転禁止の仮処分を申し立てて、仮処分時の占有者(執行官臨場時に物件にいた氏名不詳者)に対して明渡請求訴訟を提起することになります占有移転禁止の仮処分がされていますので、仮に訴訟の時点で別人が占拠していても問題になりません。

法的構成:所有権に基づく建物明渡請求

明渡の訴訟は、賃貸借契約がある場合と異なり、不法占拠により物件所有者の所有権を侵害しているとして、所有権に基づく建物明渡請求となります。そのため賃貸人と物件所有者が異なっている場合(長男が賃貸の管理をして貸主になっているが、物件の所有者は父親など)は物件所有者が原告となる必要があります。
裁判の進み方は賃料滞納で賃貸借契約を解除した場合などと大きくは変わりません。物件が不法占拠者に使用されていることを示すような証拠を提出するあたりが異なるくらいです。

賃料相当損害金

賃料滞納により賃貸借契約を解除して明け渡しの裁判をする場合は、未払賃料や契約解除後の賃料総統損害金を併せて請求することが多いですが、不法占拠されている場合も不法占拠されている期間の賃料相当損害金を請求することができます。賃貸借の関係になかったので未払いの賃料ではありませんが、不法占拠している期間は、その物件を使用していたので、賃料に相当する額を支払うように求めるのです。
ただ、不法占拠をするような人ですから、実際に金銭を回収することはできないことがほとんどです。

まとめ

所有している物件が不法占拠されている場合、通常の賃貸借契約の解除・明渡請求の場合と異なる点がありますが、法的な手続きを通じて迅速に物件を取り戻す必要も高いです。
そのような場合には、弁護士にお気軽にご相談ください。

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