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弁護士コラム

滞納賃料の督促方法について~ドアへの張り紙が違法とされた事例~

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はじめに

入居者が賃料を滞納すると、賃料の督促を行うことになりますが、電話や書面を送るなどの手段のほか、物件を訪問こともあるかもしれません。
入居者とあいさつを交わしているなど面識がある場合、入居者を訪ねて面会することが滞納の解消につながることもあります。
それでは、物件を訪問した際に、入居者が不在であった場合に、現場でどのような対応をするでしょうか。手紙を郵便受けに投函したり、ドアに張り紙をしたりすることなどが考えられます。そのような対応の中で、違法となるような場合があるのでしょうか。

違法とされた例

玄関ドアへの張り紙が違法とされたものとして、以下のような事例があります。
賃借人が平成25年7月27日に期限の到来する同年8月分の賃料を支払わなかったため、仲介を行った業者が8月5日以降連絡を取ろうとしましたが、連絡を取ることができませんでした。

同年8月20日、つまり1カ月分の家賃滞納がある時点で、物件を訪問した業者の担当者が、貸室の玄関ドアに「滞納家賃を期限までに支払わない場合には、賃貸借契約を解除し鍵を交換する」という内容の張り紙を貼り付けました。そして、同月22日、同じ担当者が貸室を再訪して、同じ内容の張り紙を、再度、玄関ドアに貼り付けました。さらに、賃貸人は、同年8月28日付の書面で、賃借人に対し、滞納賃料の支払いがない場合には、鍵の交換、動産の処分を行う旨を通知しました。
賃借人が原告となり、上記の督促の方法が違法であること、併せて借りた物件が日照・通風の点で原告の人格権を侵害する違法な物件であることを主張して、貸主に対し損害賠償請求訴訟を提起しました。

裁判所は、張り紙を貼り付けたことに対して、賃貸人が管理会社を通じて、滞納家賃を催告し期限までに支払がない場合には賃貸借契約を解除して鍵を交換する旨の貼り紙を2回する行為は、賃借人に対し連絡が取れない状況にあったことを考慮してもなお、1ヶ月分の滞納賃料の督促の方法として社会通念上相当性を欠く違法なものであり、これらによる賃借人の慰謝料は3万円と認めるのが相当であると判断しました。
鍵の交換や動産の処分を書面で告知したことについては、賃料を滞納した賃借人に対してその支払を督促する以上、その督促の表現は相当強硬なものとなることはやむをえないものであるから、このような告知が違法であるとはいえないと判断しました(東京地裁平成26年9月11日判決)。

注意するべき点

今回取り上げた事例では、張り紙の貼付が違法とされましたが、裁判所は各種の事情を総合判断しているということは指摘しておきます。張り紙が張られた事例でも、3カ月の賃料不払いで連絡が取れず、また、退去すると言って退去しなかった際に2回貼付したもので、さらに、貼り紙の内容も「連絡を請う」とか「12月15日までに退去とのことであったが、いまだ立ち退かず返答されたし」という内容であったケースでは、違法ではないとされています(東京地裁昭和62年3月13日判決)
つまり、玄関ドアなどに貼り紙をして滞納賃料を督促する場合には、賃料の滞納期間、滞納の理由、入居者に連絡がつくかどうかなどの状況から慎重に判断することが必要です。基本的には、賃料の督促のために貼り紙をすることは入居者の私生活を害する可能性が高いので控えた方が良いでしょう。

まとめ

ドアへの張り紙については控えるべきだとすると、手紙などを貸室の郵便受けに投函して入居者からの連絡を待つことになると思います。
しかし、連絡がつかない状況が継続すると、滞納賃料が増えていき、大きな不利益を被ることになります。
ある程度、入居者側の待ってみて、事態が動く気配がなければ、速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

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