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弁護士コラム

建物明渡請求で争点になること

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はじめに

建物明渡請求では、通常の家賃滞納がある事案なら、滞納していることさえ明らかになれば、たとえ裁判になったとしても、なにか争点があって、裁判が長期化したり、最悪、建物明渡請求が妨げられたりといったことはあまり起こりません(そもそも他の種類の事件に比べ、裁判に被告が出席してこない割合が高いので、1回で裁判が終わることが多いです。)。
しかし、裁判所で被告側の主張が出てきて争点となることもあり、まれに裁判が長期化したり、こちらの建物明渡請求が妨げられたりということがあります。
今回は、どのようなケースでそのようなことが起こったのか見ていきたいと思います。

家賃滞納の期間

家賃の滞納があっても、その期間が1カ月分、2か月分を超えない、といった金額である場合、いまだ貸主と借主間の信頼関係が破壊されていないとして、賃貸借契約の解除が認められません。
当事務所では、原則3カ月、最短でも2カ月の賃料を滞納している場合に建物明渡請求を行いますので、あまり正面から問題になることはありません。しかし、こちらが賃貸借契約の解除通知を送付して以降に、入居者から滞納賃料の一部または全部を支払ってくる場合があります。そういった場合には、支払われた額や時期に応じて対応を検討することになります。
全額の入金があって、その後も家賃を滞納せずに支払っている状態で、裁判の期日を迎えたような場合には、今後同様のことがあれば賃貸借契約を解除して出ていってもらうという条件で、居住の継続を認める和解をすることも多いです。
普段から賃料を遅れてはまとめて支払うということを繰り返している入居者の場合に、このようなことになることが多いですし、このような入居者の場合には、しっかり通帳や通い帳で入金管理をしておかないと、滞納金額そのものについて争いになることさえあります。

建物の修繕義務違反等を指摘される場合

家賃を滞納した入居者が、滞納の理由として建物に雨漏りなどの修繕するべき箇所が出てきて、建物の利用に制約が出ている、あるいは自分で修繕を行ったので、費用を払ってほしい、という主張をする場合があります。
賃貸借契約において、賃借人は、建物の修繕を行ったときは、賃貸人に対し修繕費用の償還を請求できます(民法608条)。そして、賃貸借終了の際には、建物明渡しの請求に対し、修繕費の償還請求権をもって留置権を主張できます(民法295条)。留置権が主張されると、賃借人は修繕費の償還を受けるのと同時に建物を明け渡せば足ります
実際の案件でも、賃借している建物が雨漏りして賃借人の家具などが濡れたとのことで管理会社とトラブルになり、ほぼ同時期に賃料も滞納し始めたというものがありました。賃料不払いで家主さんから依頼を受けて、建物明渡請求を行うことになりましたが、賃借人から雨漏りによる損害の賠償と賃料支払い義務を免れるとの主張がなされました。
雨漏りによる損害自体も争いましたが、訴訟手続きの中で裁判所と現場確認をするなどした結果、一定の損害は認めざるを得ない、したがって損害の発生を前提に留置権が認められ、損害賠償金が払われると同時に明け渡せという判決になると裁判所から告げられました。この件は、未払賃料を免除したうえで、一定の猶予期間を認めてその後明け渡してもらうという内容で和解しました。

家賃滞納事案でない場合

当事務所では、建物明渡請求は家賃の滞納があるケースを受任していますが、家賃滞納以外にも、無断転貸や賃借権の無断譲渡、用法遵守義務違反といった賃貸借契約の解除事由はあります。家賃滞納もあるにはあるものの、家主側としては事実上家賃滞納以外のこと(例えば騒音など)が明け渡しを求めたい主たる原因のようなケースでは、何らかの争点が出てくることが多いです。
借主が、住宅の前提で借りていたマンションでエステの店舗を運営していた事案で、家主が弁護士に依頼した時点では家賃の滞納が2か月分あったこともあり、家賃滞納と用法遵守義務違反の2点をいって明渡請求を進めたケースがありました。しかし、その事案では、裁判を起こした直後に滞納家賃を完済され、用法遵守義務違反も看板等も出していないし、ほとんど什器等も入れていないといった事情を借主から主張され、用法遵守義務違反が貸主・借主間の信頼関係を破壊するとまで言えるか微妙という心証を裁判官に示されて入居継続を認める和解をして解決することになりました。
また、裁判所の傾向から、騒音や近隣トラブルだけで、家主が賃貸借契約を解除して明渡請求をすることはかなり困難であるという印象です。

まとめ

他にも入居者側からは、賃料の保証会社を入れていて代位弁済金が入金されていたから賃料滞納は無いという主張や、家主・管理会社の従業員などが支払い猶予を申し出てくれたという主張をすることがあります。これらの主張は、建物明渡請求に大きく影響しないことが多いですが、それでも裁判が長引く原因になります。
争点がありそうな場合でも、何も手を打たないよりは、一度弁護士に相談されることをお勧めします。

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