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弁護士コラム

修理の必要な建物と明け渡し請求

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・家賃滞納の理由は雨漏り?

家賃を滞納し始めた入居者が、滞納の理由として建物に雨漏りなどの修繕するべき箇所が出てきて、建物の利用に制約が出ているということを言うことがあります。また、自分で修繕を行ったので、費用を払ってほしいという方もいます。

賃貸借契約において、賃借人は、建物の修繕を行ったときは、賃貸人に対し修繕費用の償還を請求できます(民法608条)。そして、賃貸借終了の際には、建物明渡しの請求に対し、修繕費の償還請求権をもって留置権を主張できます(民法295条)。留置権が主張されると、賃借人は修繕費の償還を受けるのと同時に建物を明け渡せば足ります。

建物明け渡しに対抗する建物の留置権といえば、修繕費だけでなく、修繕の必要な瑕疵(例えば雨漏り)によって、入居者に損害が生じた場合(例えばテレビが濡れて壊れてしまった)、その損害賠償請求権を担保するために建物の占有を継続するという形の留置権も認められる余地があります。

 

・実際に留置権が成立するといわれた事例

かつて私が担当した案件では、賃借している建物が雨漏りして賃借人の家具などが濡れたとのことで管理会社とトラブルになり、ほぼ同時期に賃料も滞納し始めたというものがありました。賃料不払いで家主さんから依頼を受けて、建物明渡請求を行うことになりましたが、賃借人から雨漏りによる損害の賠償と賃料支払い義務を免れるとの主張がなされました。
雨漏りによる損害自体も争いましたが、訴訟手続きの中で裁判所と現場確認をするなどした結果、一定の損害は認めざるを得ないという心証となりました。
そうすると、損害賠償の請求権を担保するための留置権が成立するので、裁判官から、「明け渡し請求は認めるけど、雨漏りによる水濡れで壊れた機械類の評価額相当を損害賠償として認めるので、それを支払うのと引き換えに建物を明け渡せという判決になるよ」というような内容の話がありました。
留置権の効力として認められる「引換給付判決」というもので、留置権が担保している債権が払われると同時に明け渡せば足りるとする留置権の効力によるものです。

裁判所の方からそのような話があったので、依頼者と協議して、滞納賃料を免除する代わりに、入居者側も損害賠償請求権を放棄して、2か月ほどの猶予を設けて明け渡させるという内容の和解に至りました。
依頼者にはなかなか納得しづらい部分もあったと思いますが、法的にはやむを得ないところです。今後は築年数が古くなる物件も増えてきますので、雨漏り等、修繕が必要な部分が出た場合には、速やかに修繕をすることが重要です

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